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ゲームシステムと説得力 / 機械種子

夏コミで仕入れてきたゲームをボチボチ消化していたのですが、機械種子(あきら小屋)は大変遊びやすくて良かったです。

「すべての同人STGを未来に変える!」「2013年 最も錆臭いSTG」というイカしたキャッチフレーズのとおり、システムは基本ショットとボムしかないシンプルな80年代風STGですが、マイルストーン作品的なポップな敵キャラの描写や敵弾、見やすい画面、そしてボスの演出等、ユーザーフレンドリーな外面はいかにも最近のゲームのように感じます。レトロな魂に現代的外装というか。

スクウェアやエニックスのRPGで育った人間なので、「この先ハードが進化したらRPGはもっと面白くなるだろう」と胸を踊らせていたものですが、実際にハードが進化した未来に現れたのは、3Dグラフィックでテンポの悪いシステムになった別ゲーばかりでガッカリしていたところに、ファルコムが『英雄伝説 空の軌跡』をリリースして「これだよこれ!」となった感じに似ています。『機械種子』は「今の技術で昔のゲームを作ったらこうなるよ」という答えの一つです。

操作が2つしかなくサクサク遊べるので、ノーストレスでリスタートを繰り返せるのも魅力の一つ。ほら、最近のSTGだとよくあるじゃないですか。久々に遊んだら「あれ……この機能なんだっけ」みたいなの。操作が2つしかなければそんなこともなくて安心です。ショット!ボム!おわり!安心!


『機械種子』はとても男らしいゲームなので、ストーリーは機械帝国に地球が侵略されて、たった一機の戦闘機で敵陣突入しなければならない絶望系STGのテンプレみたいな状況から始まります。男らしくて大変良いですね。また、難易度はVeryHardしか選択できません。男らしくて大変良いですね。

主人公は桃山吹雪少尉。設定から言葉を借りるとこんな男です。


その身体能力は常軌を逸しており身の丈十尺の人食いヒグマを徒手空拳にて昏倒せしめるほどである

ヒグマ……一体なぜこんな無意味な設定がSTGに必要なのか……!ヒグマを空手で倒せるから何なのか。なんだこれと思って私もゲラゲラ笑いましたが実はこれは必要な設定だったのです。

自機はライフ制で、1発被弾するたびに戦闘機のバリアが失われる仕組みです(初期でバリア2枚)。バリアはわずかながら自動回復しますので、バリア1枚で粘り続ければそのうちバリア2枚まで回復することができます。ただ、この自機、スペック自体はそんなに良くなくてわりと前に張り付かないと敵のザコラッシュに押し負けてしまいます。じわじわと減っていくバリア…。このまま圧倒的な物量の前に屈してしまうのか…。しかし、自機には最後のバリアが失われ、絶体絶命のピンチになったとき発動する機能「YAMATO SOUL」があるのです。


安全装置解除 機銃エネルギー供給250% 緊急攻撃態勢に移行
常人ならば機体の振動と発熱により操作不能に陥るが
桃山吹雪ならば!このピンチを大和魂で切り抜ける!
安全装置解除により攻撃力2.5倍という狂った破壊力は、ボスに密着射撃でもしようものなら一瞬で墜ちるバランスになります。
ピンチになればなるほど攻撃力が上がるシステム自体は珍しいものではありませんが、その理由付けはセガール的で大変説得力があります。というか無駄に熱くて好きです。だって機体の振動とか発熱とかでウボオアアアアアってなりそうですが、確かに言われてみれば大和魂さえあればなんとかなる気がします。
また、4面以降はプロペラ機で当たり前のように宇宙空間に飛んでいってしまいますけど、身の丈十尺の人食いヒグマを徒手空拳にて昏倒せしめる日本男児だったらそれくらいできる!と言われればそんな気もしてきます。



ゲームシステムはダメだけどストーリーは良いとか、その逆とかよく聞きますけど、『機械種子』のようにゲームシステムの理由付けにストーリーがリンクしていると片方だけが破綻することはないですし、鈎爪で心のどこかにひっかかる説得力を持つゲームになります。

アメリカンなめこことCookieClickerも、ただ数字が増えていくだけのゲームなんで別にババァが焼いている必然性はないのですが、統一意思の反物質ババァがクッキーを焼いているというストーリーがシステムとリンクしていたからこそ面白くて流行ったんじゃないですかね。

ミクロネシア連邦にヤップ島という島があるのですが、その島では石が通貨として使われていて、石の貨幣価値は、大きさや形ではなくその石がどのように運ばれてきたかというストーリーによって決められるそうです。ビジネス書とか読むと「付加価値をつけるために商品にストーリーを付けろ!」とかよく書いてます。ただ野菜を売るだけじゃなくて、どのような技術で作られたものであるかを説明して、納得して高い金を払ってもらう。そんなこと言われなくとも、昔からヤップ島の人たちはストーリーの持つ価値に気がついていたんでしょうね。

思い起こせば、我々自身の人生においてもストーリーは重要な役割を果たします。
たとえば就職活動では、企業は我々の履歴書を見て、そこに書かれたストーリーによって人の価値を判断します。ですから、我々はテニス部で部長を務めて部の皆を一丸にするためにこんな工夫をしましただの、バイト先で売上を伸ばすためにこんな工夫をして成功しましただの、高そうなスペックを想起させるストーリーを考え、自らに付加価値をつけて売り込む必要があるのです。そう、重要なのはストーリー。ヤップ島の石貨のように大きさや重さなどは参考情報に過ぎません。ストーリーの威力でスペックを装飾して、面接という儀式を蹂躙してやればよいのです!

そして一通り熱く話を語った後、面接担当者の口からこんな言葉がこぼれました。
「この空白の1年は何をされていたのですか?」

……ストーリー偏重主義の弊害がこんなところに。

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