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2011年のゲーセンエコノミクス

ゲーセン減りましたねー。潰れたゲーセンを見るたびに「あ~また潰れたのか」という感想が直感的に出てくる時点で、「ゲーセンは減少し続けているもの」が潜在意識として刷り込まれています。実際、統計的にも肌体感と同じようにゲーセンの数は減少を続けています。
ゲーセン減少の原因としては、コンシュマー機の性能向上、家庭への通信環境整備、ソーシャルゲームの普及等があげられるでしょうが、腐るほど語りつくされていることでもあるので、本エントリではそこは問題としません。

「で? 実際どれくらい減ってるの? ゲーセン」
体感論として語られることはあっても定量的に語られることはあまりない、というかデータが整備されていないので、今回は公開されている上場企業の決算データからゲーセン運営事業にかかるセクションのデータを抽出して、整理しました。
対象としたのはバンナム、セガ、スクエニ(タイトー)、イオンファンタジー、ラウンドワン、アドアーズ、カプコンの7企業。これらの企業だけでゲーセン産業の市場規模のかなりの比重を占めており、概ねのトレンドを掴むことができます。
なお、今回のデータはあくまで『ゲーセン運営』だけに絞ってデータを集めましたが、スクエニの決算資料の数字は開発・製造と施設運営が同じセグメントに計上されているため、やむをえず開発・製造部門も含めて集計しています。

では、ここ4年間の売上高合算値の推移を見てみます。

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この推移表の規模感についてですが、過去の統計資料によると2008年の施設運営産業の市場規模は5,500億円と予測されており、結果的に予測値が実績値になったと仮定すると本表の3,650億円は市場規模の66%を占めます。スクエニの開発売上高混入等を差し引いても市場規模の6割程度は反映しているとみていいかもしれません。
推移表によると2007年→2011年の4年間でこの7企業は売上高を1,000億円(▲28.5%)落としていることがわかります。3割の売上高減少って中小企業レベルであれば潰れている水準なんですけどね。ここで登場する企業は大手ばかりなので体力がありますが、同水準の売上高減少が中小企業クラスでもあったとすると、そりゃお前・・・てなもんです。ここには出てこない中小のゲーセンが次々と潰れていく理由も薄々見ることができます。

ただ、売上高がこれだけ激減する中でここ3年の営業利益(合算)は(2009年度▲38億円)→(2010年度+55億円)→(2011年度+85億円)と回復傾向にあったりします。その要因としては、特にバンナムやセガにおいて象徴的に見られるのですが、不採算店舗の縮減による赤字削減という点が挙げられます。よって、現状分析としては『ゲーセンの市場規模は縮小傾向にあるが、企業は対応し、利益体質を構築しつつある』といったところでしょうか。ユーザー側としては、遊べる店が減ってたまったもんじゃないですけどね。また、これは大手にのみ採用できる戦略であって、中小はそうそう店舗閉鎖するわけにもいきませんから、中小の利益水準が回復しているかというと、そうではないと考えられます。

ゲーセンに関する雑感としては「最近大型のゲーセン増えたなー」というのもあるので、ゲーセン1店舗あたりの売上高単価も調べてみました。ただ、これについては、バンナムの店舗数を直営店だけ集計していたり、スクエニが店舗数を決算資料として公表していないためその決算期に近いのプレスリリースを探して近似値としていたりするので、数字としての正確性には欠けます。
4年間一定のルールで集計しているため、トレンドを把握するのには使えますが、「ゲーセン1店舗あたりの年間売上高は2億円だ!」と解釈するのは間違っています。あくまで傾向把握のための資料として参照してください。

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店舗数が減少しているのは体感からも大きな乖離はありませんが、店舗あたりの売上高も減少しているようです。大型店舗が増えている気がしたので、単価は上がっているのかなーと思ったのですが。こうも綺麗に減少傾向を見せているということは、正確な店舗数が把握できたとしても、大きな差のない結果になるのかもしれません。

大きな流れとしてはこんなところなのですが、気になるのはここに出てこない中小企業ですね。ゲーム関係の統計はあまり真面目にやっているところが少なくて、矢野経済研究所かファミ通かって状態ではあるのですが、一度どこかに調査してもらいたいところではありますね。文化を語る上で定量的なデータがあると、トンチンカンな議論にならずに済むってのもありますし。ミッシングリンクにそれっぽい理由付けをして、ザッツ歴史修正ってのはあまりに寂しい。

見えないながらに語ってしまうと、上述した『撤退戦略を採れない中小企業のジレンマ』のほかに、筐体価格の高騰化問題もあると思いますね。戦場の絆とか1セット1千万以上しますし、何だそれって。DBAC10個以上買えちゃうじゃない。(というか、あれは何であんなに安いんでしょうね)
戦場は今まさに資本力の舞台にあるわけで、考えてみると「戦いは数だよ兄貴」とか言ってた奴はいいこと言ってたなぁと。

最後に、今回集計に使った企業の個別資料も掲載しておきます。それぞれ決算資料からアミューズメント施設運営事業(スクエニ除き開発含まず)のみを抽出したものです。ラウンドワンについては、個別の事業にかかる営業利益が掲載されていないため、売上高のみを集計しています。

というかスクエニは資料の質が残念。売上高のセグメント割りの粗さもさることながら、せめて店舗数くらいは載せてほしい…。せっかく社長が証券会社から来てるのだから、それくらいはちゃんとしてくれるとウォッチャーが歓喜します。株主も喜ぶと思います。あと自社での経営改善にも役立つのでぜひ作っていただけると最終的に私が喜びます。
一方、優れたIR資料を出しているのは、アドアーズ。部門ごとの利益分析や、経営課題や外部ファクターについてよく書かれています。ただ、そこまで分析しておいて最終的に全社スローガンが『気概』ってのは何かの冗談かと思いましたが。アドアーズは借入が多いので、金融機関向け説明資料を作る必要性が強いのもありますね。スクエニなんかのコンシュマー系は業歴が長くて殆ど借金がないので、外部への経営情報発信のプライオリティが低いのでしょう。

 

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シェアNo.1。撤退戦略における成功モデル。市場を代表する企業は市場と同じように動くの法則。

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シェアNo.2。撤退戦略における大成功モデル。市場を代表する企業は市場と同じように動くの法則。

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もう少し細かいセグメント分類をお願いします。

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イオンの中に入っているゲーセンの運営会社。子どもたちを囲って毎期安定している。岡田パワー。

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複合施設だから店舗ごとで収益見ているのか、個別事業についての利益の開示なし。
ちなみにこの会社は収益よりもバランスシートが面白いです。借金で店舗をドンドン増やしていくビジネスモデルなので、担保はかなり拠出しているし、資産の一部には(責任財産)と但し書きがついてたり(※1)、セールアンドリースバック方式という珍しい金融手法(※2)を用いていたりします。とにかく借金が多いので、資金繰りのためにさまざまな手法を使っていることがわかります。

(※1)ノンリコースローンによるもの。このローンを組んだ状態で仮に会社が破綻しても、回収できる資産は責任財産に限定される。
(※2)保有している店舗を第三者に売却し、同時に賃貸契約を締結し、店舗を賃借に切り替えるもの。毎期賃料を払う必要が出てくるが、借入金が減る。

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決算補足資料がよくできているので、興味のある人は見てみてください。「決算説明会資料」参照。

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コンシュマー系の他社と同様、撤退戦略をとるもそこまでドラスティックでもなし。というか閉めるほどの店がない。

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