忍者ブログ

当たり判定ゼロ シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

RSS TWITTER RssTwitter

シューティングは大往生したなどと誰が決めたのか

「シューティング、終わっちゃったのかな…?」
「バーカ!今が全盛期だよ!」

シューティングは衰退した、ってよく言われることですけど、それを聞いていつも思うことがあるんですよね。

「一体いつと比較して衰退したと言っているんだろう?」

インベーダーやゼビウスの時代でしょうか? 高橋名人のシューティング衰退論にかかるコラムにしても、どうもそのあたりの時期を念頭に話をしているような気がします。
確かに昔は社会現象となる程度のインベーダーブームがあったり、シューティングの全国大会が開催されるほど、シューティングは世間への影響力、浸透力がありました。その時代と比べれば、今のシューティングなんて経済的影響力をとっても、社会的存在感をとっても大きく落ちぶれたと言わざるを得ないと思います。

当時、まさにスペインのピサロがインカ帝国を侵略したときのように、文明の利器を持ったコンピューターゲームは娯楽産業を席巻し、シューティングはその主力ジャンルとして位置づけられました。文明の未踏の地でシューティングは栄華を誇ったわけです。
けれど、今や文明の利器は多くの人々に行き渡り、コンピュータゲームであること自体が一つの武器である時代は終わり、シューティングはコンピューターゲームの1ジャンルに埋没してしまいました。
シューティングにとっての大航海時代はもう終わってしまったんですよ
一度きりのブルー・オーシャン。そんな時代と比較することはユートピア主義に陥るだけではないかと私は思います。今の日本で「バブルの頃はよォ・・・」なんて語っても仕方ないでしょう。

弾幕系による高難度化がライトユーザーの減少を招いたという意見も散見しますが、シューティングってそれ以前に元々難しくなかったですか?(個人的にはライトユーザーの減少は、弾幕系じゃなくて敵弾操作系によるコマンドの難化がもらたしたと思ってますが)
マイルドセブンを吸う人間が「ピース(ニコチン含有量の多いタバコ)は体に悪い」と非難したところで、いずれにせよタバコは体に悪いものなんですよ。
むしろバブルが崩壊した後、弾幕系という新しい面白さを発見し、開拓してきた今のシューティング界は大いに評価されるべきではないかと思います

例えば弾幕系を代表するケイブ。主力タイトルとして、シューターなら誰でも知っている「怒首領蜂」シリーズがありますが、同シリーズは大往生以来、確固たるブランド力を獲得したように思います。
その怒首領蜂シリーズが大復活すると発表されたときのシューティング界隈の盛り上がりは、どどんぱち大音頭を踊るバカが登場したりツイスターゲームでいやーんだったりと大変なものでした。

次の表はそのケイブ社の決算からゲーム開発部門のみの売上と利益を抽出し、推移表を作ったものです。

cavesuii.JPG

シューティングは大往生したなどと誰が決めたのか。

弾幕系を突き進んだケイブは怒首領蜂というブランドを見事に育て上げ、今それが開花しています。
一方、老舗シューティングメーカーであるタイトーもインベーダーブランドを粘り強く再構築した上で、ダライアスシリーズの復権にも着手しています。なぜタイトーは今になってそのような行動を起こしたのか。その背景にはシューティング人口の拡大を見据えているような気がしてなりません。

今のシューティング界隈はかつてないほどライトユーザーが増加していると思います。そう、それこそ家庭用でグラディウスやツインビーが遊べるようになったときと同様に。
今更言うまでもありませんが、東方Projectの存在です。
現在のシューティング界隈を語ろうと思ったら、東方を抜きに語ることはできないでしょう。
『東方厨』という言葉がありますが、裏返せばバカでも東方を知っているというほど東方が浸透しているという事実に外ならず、また若年層の支持が強いという特徴もあります。
(参考)第7回東方シリーズ人気投票 投票者アンケート結果

そして、この東方Projectがライトユーザーに受け入れられたという事実こそ、注目すべきことなのではないかと。なぜなら、東方は弾幕系であるから。
東方は証明したわけです。「弾幕系が初心者を駆逐した」という考え方が間違いであることを。シンプルなシステムをキャッチーなパッケージで包んでやれば、弾幕はライトユーザーに受け入れられるのです。
むしろ長年初心者の流入に頭を悩ませ続けてきたシューティング界隈にとって、東方は待ち望んだ光明であったのではないでしょうか。

ついにシューティングはライトユーザーの獲得に成功したのです
前述したケイブの最近の成功やタイトーのシューティング復活政策にも当然結びつけて考えるべきだと思います。東方で流入したライトユーザーの一部がケイブやタイトーのゲームを遊ぶコアゲーマーへと足を踏み入れるピラミッド構造ができつつある、というのがシューティング界隈を取り巻く現況と解釈できるのではないですかね。

人口流入という欠けていたパーツを手にしたシューティングは、ライトユーザーの増加により近年ないほどの良いライト・コアのユーザー分布構造を手にしているのではないかと思います。
シューティング衰退論の大きな論拠として、結果としてコアユーザーのみになった界隈に、メーカーもコアユーザー向けのタイトルを投入せざるを得なくなり、ますますコアユーザーが増加し…というのがあるかと思いますが、今やそれは解消されました。
最近ではケイブのデススマイルズに見られるような初心者向けに難易度の工夫も見られますし。

ライトユーザー吸入源としての東方と従来のコアユーザー向けのアーケード両方備わり最強に見える現状はそう嘆くようなものでもないと思うんですよね
かつて任天堂の岩田社長はゲーム業界の衰退とシューティングの衰退と並列に並べて語りました
その後、任天堂はDSを発表。閉じた世界を打破して多くのユーザーを獲得したのはご承知のとおり。
いつの時代もその業界が活性化するには新規参入が必要なのです。
東方というカミカゼを得て閉じた世界から開放されつつあるシューティングは今こそ第二の全盛期である、というのは言いすぎでしょうか。

<関連記事・参考資料>
◇ あたっく系 何故シューティングはよく「廃れる」とか言われるのだろう

◇ シューティングゲーム - Wikipedia

◇ コンピュータゲームの歴史 - Wikipedia

◇ シューティングゲームの歴史

◇ Wapedia - Wiki: ケイブ

◇ 弾幕とシューティング史----弾幕以前、弾幕以後 - シロクマの屑籠(汎適所属)

◇ シューティング、音ゲー、格ゲーは何故衰退したのか

◇ STG が廃れたのは弾幕系に引いたユーザの受け皿を作ってこなかったからだろうがヴォケ!!

◇ 第7回東方シリーズ人気投票

Comment
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメントの修正にはpasswordが必要です。任意の英数字を入力して下さい。
無題
>8.東方の特に魅力を感じている所(最大3つまで選択)

わざわざ人気投票結果を参考に挙げているのに、何故この項目を無視されているのか疑問に思います。
大半のユーザーにとっては、東方projectがSTGであることよりも、どんな新キャラクターや新曲が出るのかということの方が遥かに重要なのです。
東方projectそのものは評価されていても、STGが受け入れられたとは到底思えません。

STGなんてマイナージャンルなのに売れた東方は凄い!最高!
ということを仰りたいのであれば正しくその通りですが…。
retro 2010/08/25(Wed)12:49:53 編集
無題
東方はSTGであることすら知らないで本などを書いてる人がいるというのは有名な話ですよ
キャラクター人気なんだからSTGは関係ないんじゃないかと
NONAME 2010/08/25(Wed)13:15:25 編集
無題
コメントありがとうございます。

>retroさん
私はそれで良いと考えています。
全てのライトユーザーに高邁な思想を求める必然性はなく、一方で入門的作品もユーザーを縛ってはいけません。
漫画で学ぶ歴史シリーズのように、一部の読者をコアに引き込むための広い裾野が必要なのだと思います。(東方の場合は作者が意図せず結果的にSTG入門書になってしまったのかもしれませんが)

>NONAMEさん
それは素晴らしいことではないですか。
カネも払ってないのにSTGを宣伝してくれるなんて。
周辺産業からの人口流入も期待できるので、そういうのは多ければ多いほど良いです。
rikzen 2010/08/25(Wed)19:30:40 編集
無題
>シューティングにとっての大航海時代はもう終わってしまったんですよ。
>一度きりのブルー・オーシャン。そんな時代と比較することはユートピア主義に陥るだけではないかと私は思います。
>今の日本で「バブルの頃はよォ・・・」なんて語っても仕方ないでしょう。

ああ、コレはまさにそのとおりだと思います
格闘にしろシューティングにしろ、過去の栄光を夢見すぎてるんだと思います
正直、かつての花形の一つであった横スクロールジャンプアクションなんて、もっと悲惨なことになっているのに

定期的に数本リリースされるだけでも良いと思うんですが
現在ではダウンロードコンテンツという新たな生き残り先も誕生したし
オールドタイプのゲームで小さく稼げれば良いと言うタイプのものは、そちらに移行することになるでしょうね

東方に関しては、アレは久しぶりに登場した家庭用難易度のシューティングだという側面もあると思います
アーケード難易度のシューティングは慣れている人間はともかく
新規ユーザーにはそれだけで厳しいものなんですわ
難易度を大幅に落としたおかげで別の評価を得たグラディウス3のように
シューティングユーザーはアーケードを神格化しすぎてる感があるけど
こういう家庭用に特化したものがなくなったことも問題点の一つなんですよ

後、追加で東方を最初に話題にしたのは
2chにいたシューティングゲーマーだったことも忘れてはいけないと思います
しかし、Win版2作目以降からファンの様子がおかしくなっていったのですが・・・
この辺書き始めると長くなるので別項に後日書くかも
書かなかった場合のために問題点を一行で
"さまざまな意味において新旧オタクの世代間闘争の場となってしまっている"
名無しさん 2010/08/27(Fri)05:14:56 編集
無題
>名無しさん
ご指摘に同意します。
低難度のゲームが減って初心者置いてけぼりになったというのは事実でしょうね。
しかし、それを覆そうと思うと、ただ低難度のゲームを出せばよいというのではないというのが難しいところ。
雪印がメグミルクというブランド名を採用する必要があったように、一度傷ついたイメージを立て直すには、一から作るよりより多くのコストを必要とします。
東方の場合は難易度のみならず音楽・キャラクターという、システムを包装するパッケージが優れていて、とっつき易さを演出したことが成功の大きな要因と考えています。

Win初期の2chの東方スレ懐かしいですね。
紅魔郷の頃なんか「すばらしいゲームだ。ただし作者がロリコンであることを除けば」なんて名文句もあったりして思い出深いです。
rikzen 2010/08/27(Fri)17:57:09 編集
無題
> 正直、かつての花形の一つであった横スクロールジャンプアクションなんて、もっと悲惨なことになっているのに
マリオは別格としても、カービィも今でも出せばミリオン売れてます。
あとDSで出てるキャラもの横スクACTもコンスタントに数万本と、手堅い商売になってたり。

STGにしてもそうですけど、興味のないものって過小評価されがちですよね。
NONAME 2010/08/28(Sat)21:18:48 編集
無題
このエントリーには根底に問題があります。

冒頭の
シューティングは衰退した、ってよく言われることですけど…
の「よく言われる」というのは果たしてどこのことなのか。

ジャンルの流行に左右されている流れを単純に
過去からゲームメディアが面白く書き立てていることに捉われるあまりに
それをまたこうしたエントリーが拡声器になってしまっています。

どこで見たり聞いたりしたのか。
まずそのことをよく思い出していただきたい。
そもそもシューティングは昔も今もそれほど衰退していません。

また逆に衰退したと考えるのなら、
「そんな時代と比較することはユートピア主義に陥るだけではないかと私は思います。」
というのもパラドックス的な矛盾になっています。

比較した結果が衰退なのであり、
「あの頃とは比較しないけどさぁ…でも衰退したよね」は間違いです。
書くならふらつくのではなく、ちゃんとどちらかに芯を通した方がいいでしょう。


物事は単純で、シューティングは衰退した訳でもなく
当時、メーカーが人気の無いジャンル、アイデアの出ないジャンルに投資しなくなった。
ゲーセン側もインカムの取れない基板を買わなくなった。ただそれだけのことです。

新規タイトルの本数が減れば衰退したと勘違いされがちですが、
後は書かれている通り、ケイブやタイトーなど根強くシューティングを作り続け
今に至ります。

第二の全盛期であるかどうかは未来のゲームメディアがどう書くかに期待したいと思います(笑)
todo 2010/08/29(Sun)08:14:15 編集
無題
>NONAMEさん
カエサルを引用するまでもなく不変の原理ですよねぇ。
「最近の~は」と批判する人は、必ず「最近の~」について詳しくないの法則、なんて補足もあったりしますし。
それにしてもカービィがそんなに売れてたとは。調べて驚きました。

>todoさん
しっかり読んでくれてうれしいです。
構成力足りず、誤解を招くようなところもあったかもしれませんが、私の本旨としては、インベーダー等の社会的現象ともなった時代と比較すれば、やはり経済的・影響度的にも衰退と言っていいと考えています。
しかしながら、いつまでもその時代と比較することに意味はないよね、と訴えたつもりでした。

ところで
「シューティングは衰退した訳でもなく当時、メーカーが人気の無いジャンル、アイデアの出ないジャンルに投資しなくなった。ゲーセン側もインカムの取れない基板を買わなくなった。ただそれだけのことです。 」
についてですが、やはりこれは衰退と言っていいのではないでしょうか。
そもそも「衰退」の定義について考える必要がありそうですが、市場規模の推移を持ってその指標とするのが適当ではないかと私は捉えています。
実は衰退の定義についても論点にしようかと目論んでシューティングの市場規模についても調べてみたのですが、どうにも適当な資料に行き当たりませんで、断念しました。
この辺の統計が充実してきたらもう少し足元の固まった議論もできようかと思うんですよね(ニーズがないか)。
rikzen 2010/08/29(Sun)20:55:19 編集
Clear