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ゲーム業界各社決算まとめ - 2009年春

そろそろゲーム業界企業の3月決算も出揃ってきたので、今回もまとめをば。(昨年中間期はこちら

ゲーム業界についてしばしば言及されるのが、ゲームは単価が安いので、不況に強いという点。実際、証券化市場の崩壊に伴う世界的な不況で大きな影響を受けたのは、単価の高い商品を扱う業界。例えば、不動産に始まり、車・建機等が挙げられます。トヨタ自動車が赤字転落して、来期の業績予測でも黒転できない状況にあるのは記憶に新しいところです。

というわけで、さっと一覧。

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去年と同様ハードメーカー(任天堂、ソニー、MS)は除きました。

追記:思ったより多くの方がご覧になったようなので、補足。本来ならば、経常利益の後ろに特別損益(土地売却益(損)等の一時的な損益)が来て、次に税金を引いた後、「当期利益」を算出するのですが、ここでは行っていません。企業の実力の本質を見るには、経常利益が最適との考え方によるものです

ナムコやセガあたりの利益率の低さが目立ちますが、利益率の低いゲーセンを併営しているため。ゲーセンやってる会社は、どの会社もゲーセン事業が足を引っ張っている部門になっています。先日、バンナムとカプコンがゲーセン事業で提携開始とのニュースもあり、どの会社のIR見ても改善に注力しているのが見て取れますが、今のところうまくいく兆しは無いようです。「ゲーセン離れ」も叫ばれ、バンナムやセガも店舗削減を行うようですが、ユーザー数が減っているなら、それもやむなしなんでしょうなぁ。ただ、昔と違って単価が高かったり継続性の高いゲームが多いので、客数減ってても客単価は上がってるような気もするんですよね。市場規模の推移なんてのも見てみたいところ。

個別の決算については改めて下記に年次推移と共にまとめますが、やはりこう見るとコーエーの利益率の高さは目立ちますなぁ。短信読んでると「三国志」「信長」「無双」が繰り返し繰り返し書かれており、もはや夢にまで出てくるレベル。前も書きましたが、コーエーの焼き直し商法は本当に恐ろしいです。大成功です。シブサワコウ怖いです。テクモは利益率でスクエニと同等、売上高でスクエニの1/10という会社ですが、合併したらコーエーの商売上手を教わって頑張って欲しいですね。早速エロバレーをシリーズ化してエロ野球とかエロサッカーでも作ってみてはどうでしょうか。

規模はバンナムやセガサミー、コナミがぶっちぎってますが、バンナムはおもちゃ、セガはパチンコ、コナミはスポーツクラブ等を併営しているため、純粋にゲーム事業(コンシュマー、ゲーセン)のみを見ると、バンナムでも売上高2000億円強と見た目よりは離れていません。

近年好調のカプコンも、同社の推移として好調ということであって、まだまだ規模ではバンナムやコナミには適いません。個人的なイメージでは、あれだけモンハンやバイオハザードを売ってきたカプコンよりバンナムのゲームの方が売れているのが不思議でたまりませんが、これがマンパワーの果実なのでしょう。おかげで儲かっていませんが。昔の偉い人は「戦は数だよ兄貴!」なんて仰っていましたが、最近のトレンドは経営資源の集中ですからね。

 さて、それでは企業を個別に時系列と共に見ていきます。

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サードパーティの中で売上は1位。といっても、前述したとおり、コンシュマー+ゲーセン事業での売上高は2000億円強で、単独ではトイホビー部門の1600億円が最多です。
ゲーセン事業の売上は770億円ですが、営業利益4億円。バンナムは全事業で営業利益率10%を割り込む等、全体的に利益率が低いのが特徴ですが、とりわけゲーセン事業が足を引っ張っています。ゲーセンは儲からない儲からないと言われますが、こうして数字にすると一目瞭然ですね…。
老舗企業であり財務の安定性は高いのですが、キラーソフトに欠け、爆発力に欠ける印象です。DLCの雄というか、うまい商売してるなぁとアイマスの時に思ったもので、アイマスのDLCも3億円売れたと話題になりましたが、同社の規模からすると3億円程度では業績を左右する程でもなく、やはりバンナムはDLCを主戦場におくべきではないかと。
というわけで、DLCでゲーム内容アンロックみたいなのはやめてください…。(本当にお願いします)

次期の業績予想は今期並と若干固めの予測。今期の目玉ソフトは鉄拳6くらいでしょうか。ドリームクラブが出たおかけでアイマスもブルーオーシャンではなくなりましたし、アッと驚くような新タイトルを出して欲しいものですね。

ついでに。バンナムのIRは非常に優れていて、HTMLで事業部別採算公開してたりします。内容も見やすいですし、個人的にはカプコン、アトラスと並んで、ゲーム業界の中でIRの好きな企業です。

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というわけで、ぼくたちのセガ。黒字でした。信じられません。

コンシュマーの売上1300億円、ゲーセン事業1300億円。足して2600億円程度。ほかパチンコ・スロで1600億円程度。ゲーセン事業の比率が高いだけに、昨今のゲーセン不況で長らくダメージを受けている会社です。というかコンシュマー・ゲーセンともトントンやや赤字という程度で、まぁ簡単に言えば旧セガが赤字。やっぱりセガはセガでした。ゲーセンの売上高は前期1600億円でしたが、40店舗程度の閉鎖に伴い、売上高が下がったようです。
そのほか、ここでは挙げていませんが経常利益の後ろに希望退職関連や減損処理、店舗閉鎖に伴う処理、ゲーム開発中止に伴う損失等があり、特別損失300億円程度を計上しています。

来期については、売上高は今期並としますが利益率の改善で利益幅を増す計画の模様。あれ、前もこんなことを言っていた様な気がしますが・・・。・・・次はうまくいくことを祈りましょう。グラフにするとV字回復もいいところですなぁ。
利益率の改善について、主なところでは「パチンコの価格戦略見直し」「ゲーセン店舗の閉鎖に伴う固定費の現象」「コンシュマーゲームタイトルの絞込み」等が挙げられています。

コンシュマーの来期発売予定は「BAYONETTA」や「End of Eternity」がありますが、イマイチグッとくるタイトルが無いんですよね…。セガらしい尖ったゲームをまた見たいです。
というか、セガの決算見るたびに「また本体作ってる形跡ねぇかなぁ・・・」とか思いながら読んでるんですが、本当に作ってないっぽいですね。

(追記:誤解のある書き方をしてしまいました。セガが黒字なのは、経常利益段階においてです。上記の通り、退職金や、減損処理等がありますので、経常利益は黒字ですが、最終利益は220億の赤字です。誤解された方、申し訳ありません)

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(実は連結損益計算書に「経常利益」を記載していないため、この会社だけ経常利益を税引き前当期純利益としています。訳分からない人には意味不明かもしれませんが、似たようなものなので気にしないでください。)
うちゲーム事業の売上は1870億円。今年度はメタルギアソリッド4の発売等で、前年度の1780億円から若干売上を伸ばしました。何だかんだで売れますね、あのシリーズ。やはり世界でブランド力を持っているというのは強い。IR読んでると、小島監督は「生涯功労賞」というのを貰ったそうで。なんとなく凄そうな賞です。
毎年恒例のパワプロ、プロスピ、ウイイレで安定収入もありますし、コンシュマーは堅調です。

一方、ゲーセン事業でも、りくぜんさんが毎年毎年貢ぎに貢いでいるQMAやHorseRiders、麻雀格闘倶楽部等有力コンテンツが多く、それなりに堅調のようです。考えてみるとゲーセンが「客数減少、客単価増加」の傾向を見せて一番得している、というかそのビジネスモデルを構築したのは、コナミによるところが大きいのかもしれません。自分でゲーセン自体を経営していないというのも大きいですね。

ほか、健康サービス事業で売上900億。いわゆるコナミスポーツクラブをはじめとした健康・スポーツ事業でね。こちらも前年比+4%の増収だったそうです。

来期について「あれやるぜー!これやるぜー!」というのは余り書かれていなくて極めて抽象的な表現をしているのだけれど、詳細はIRメルマガにでも書かれているのかしらん。

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「ドラクエいつ出るの?夏出るの?FF13今年度中に出るの?5年前から開発してるらしいけど本当に出るの?」が今年の生命線でしょうか。去年の大作としては「クロノトリガー」「ドラクエ5」「ディシディアFF」、それから箱の「インフィニット」「SO4」あたりでしょうか。いかにもスクエニって感じのJRPG真っ盛りって感じであり、ぶっちゃけ各メーカーがJRPGを忌避(してる気がする)している昨今だと逆にその路線突っ走るだけで強みを生かしつつ独自性を発揮できるんじゃないかと思ったり思わなかったりするフゴゴゴッ!な昨今でございます。

旧タイトーのゲーセン部門については売上580億で、損失9億といったところ。改善努力は続けているみたいですが、相変わらずですなぁ…。

業績予想はすげえ強気。ドラクエとFFを一体何本売るつもりなのかしらん。業績予測って一番情報を持ってるはずの当社が、来期についてどう考えているのかわかる重要な部分なので、もう少ししっかり書いて欲しいなぁと思う次第。(カプコンは前期、バイオニックコマンドーの販売予測本数まで書いてました)

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最近絶好調のカプコン。当初の業績予想には届かなかったものの、他メーカーがバタバタと倒れていく中でのこの数字は流石です。バイオ5も400万本以上売れてしまいました。ぶっちゃけ昨年中間期時点ではバイオ5を325万本(当初予定販売本数)売るとかマジ眉唾モンだと思ってましたごめんなさい。来期もxbox360でデッドライジング2やロスプラ2やら期待作を出してくれるとのことで、ドッキドキがワックワクでございます。
今期より発売タイトルは減らすようですが、モンハン3もありますし、来期の業績もそれなりの数字は維持できそうですね。

上場企業といっても株式の上位陣を経営者一族が占める同族企業ですが、その割りにIRのページがしっかりしているんですよね。IRサイトランキングで全上場企業中1位を獲得したりもしているようです

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というわけで、今年もゲーム業界商売上手1位はコーエーでした。利益率が他社と比してダントツに高いですね。本当に信長・三国志・無双しか作らない。火傷しない。やろうと思えば、稼いだ金を使って事業拡大して、もっとたくさんゲーム作っていけると思うのですが、それをしない。手堅い。
前期と違って経常利益がガタッと落ちているのは、有価証券評価益が無くなったため等の理由によります。(個人的には有価証券評価損益は恒常的なものじゃないため、特別損益に入れたほうがいいと思うんですがねぇ…)
ちなみに信長Online等ネトゲも展開していますが、売上54億営業利益20億ですって。ネトゲ展開している会社の中でも稀有なくらい儲かってます。信Onとか周りにやっている人いないのですが、そんなにユーザー多いのかしらん。

財務体質も実質無借金でミニ任天堂状態も変わらず。借金が無いということはそれだけ商売の規模を大きくしていないということなので、一様に褒められたものじゃないんですが、企業の最終目標を「倒産しない」という点に絞るならばこれに勝る戦略は無いですね。

来期はコーエーテクモホールディングスになることもあって、業績予想は公開していませんでした。(ちなみにテクモの個別業績推移は作成していません。会社がなくなっちゃうので)

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こちらも最近好調アトラス・・・と思いきやすげえ利益率低かったり。この会社のように、突然売上高が跳ね上がった会社は、利益率も跳ね上がるもんですが。
1期前のH20/7期だとコンシュマー売上81億営業利益19億、業務用ゲーム売上53億利益0.6億、ゲーセン経営売上99億営業利益2億と、完全にゲーセン事業が足を引っ張っている構造ですね。コンシュマー事業の利益率だけ見た場合、コーエーに匹敵する水準。ペルソナで一山当てたって感じです。

とはいっても、ペルソナ・世界樹くらいしか強力なコンテンツがなく、同タイトルの発売がない今期は前々期程度の水準に戻るとの予想です。先日、ペルソナ5が箱○で出るとかいう噂が流れましたが本当だとうれしいなぁ…。ペルソナばっかりは海外でもある程度の評価を得ているため、それなりに信憑性があるだけになおさら嘘っぽさもあるような気もしたり…。

なお、2期前のH19/7期は決算期を変更(3月→7月)したため少な目の数字が出ています。

ちなみにこの会社も良いIRをしており、株主通信「AtlusToday!」は凄く充実しています。(株主じゃなくても見れます)

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ちょうど先日、ファルコム音楽フリー宣言がネットに衝撃を与えたばかりのファルコム。こういうことがサッとできてしまうのも、小さな会社の強みですね。大きい会社だと許可を得なければいけない人が多すぎて、こんなことできないです。ファルコムの音楽が演奏しやすくなることは、ファルコムの知名度UP+好感度UPに繋がると思うので、素晴らしい施策だと思います。規則にガチガチに縛られた大手を見返してやってください。

さて、肝心の決算ですが、同社は9月決算のため1期前(20/9)と直近中間期(21/3)を並べています。直近の数字冴えねぇなぁ、、、と思ってたらPSP向け「空の軌跡」やPSP向け「Zwei」とかリメイクをちょこちょこっと出したばかりで、こりゃ売れないわと得心。イース7も出す出す言いながら出しませんし。イースオンラインとか一体どうなってしまうのかとしか思えませんし、コンテンツ的には不安な点が強いのですが、この会社も無借金経営で、財務体質は磐石だったりします。
後期にイースクロニクルとイース7がバカ売れするから、業績予想の達成は大丈夫だよ!とか書いてましたが、このV字はさすがに…これは…。
総資産17億のうち現金14億と、一体これ何に使うねん、状態。

 

総括。
・今年もコーエーの商売上手は変わらなかった。この会社は無双であと何年食っていくんだろう。ストーリーをほぼ考える必要が無いから工程短くて作りやすいのかな・・・?
・短信がどの会社も「昨今の米国に端を発する~」と判で押したような書き出しで始まってた。IR担当者は文面考えるの楽だっただろうな。
・V字回復ラッシュ。固めの予想はバンナム、カプコンくらいか?セガとファルコムの業績予想達成はできるかどうか見もの。
・アトラスはペルソナ出す年→儲かる、ペルソナ出さない年→儲からないになりそう。同社も十分理解しているようだが、もう少しキラーコンテンツ作らないときつそう。
ゲーセンに冬将軍がカミングして帰ってくんない。コナミがソフト作って儲かってるのが目立つくらいで、後は全滅。

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