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未来はゆるふわサイバーパンク / 未来探偵ソラとピヨちゃん

サイバーな未来には夢があります。
私は子供の頃から先見の明があったので、「あと5年もすれば脳に電極を挿してデータを流し込んで暗記できるようになるのに、あいつら必死こいて勉強してバカだなー」と子供の頃からクラスメートに対して思っていましたし、そのような信念にまっすぐ生きてみたところ、大人になってから必死こいて働くはめになってバカだなーと思いました。
サイバーじゃない未来は暗いです。

せめて空中のチューブの中を電車が走ってるとか、虚空からキーボードを呼び出してカチャカチャできるとか、イルカが攻めてくるとかそういうことがあればまだ救われるのですが、実際に訪れた未来は、人が猫と一緒にコールドスリープして時間をジャンプするどころか、アイスケースに入って炎上している残念な現実でした。だからこそ我々は未だにSFを捨てられないし、未来をフィクションに押し込んでいるのかもしれません。

私の数少ない知識だと、サイバーパンクは一般市民が電子ドラッグやってたり、突然カジノでブラックジャック始めたり、電脳世界でロボットバトルして相手を脳死に追い込んだりとか、全体的にトゲトゲしくてエッジの効いた作品が多い印象にあります。未来の技術は人を攻撃的にさせるのでしょうか、読んでいるこちらもドキドキしてテンションが上がってしまいます。ただ、例外としてハリソンフォードが出てくる映画は2回見て2回寝ました。

それだけに「ゆるふわサイバーパンク」と銘打たれた「未来探偵ソラとピヨちゃん」は、方向性の時点で特異に見えます。
戦争やブラック企業が嫌われていることからもわかるように、人は本質的にギチギチした争いが嫌いで、ゆるふわとした世界においてノーストレスで暮らすことを望んでいるのです。
また、何回ブレードランナーを観ても途中で寝てしまうことからわかるように、人はサイバーパンクを見ると心を許し、安心してしまうのです。

最高の組み合わせじゃないですか。諸葛亮を得た劉備、大井っちと北上さま、FF14にユーザー登録した冨樫義博みたいなもんです。サイバーパンクは好きだけど、ゆるふわはダメ?何を言っているんだ。ゆるふわはいいぞケンシロウ。



PVがオシャレ。

時は未来。家電製品がネットを結び、社会インフラのネット化が進み、ケータイ電話の中に、心を持つコンシェルキャラが住む時代。

主人公のソラは、地平線の見える北海道の片田舎から新宿に出てきた女の子。年端もいかない女の子が都会に出てくるなんて、まぁちょっと難しげな家庭環境の問題なんてこともあるのだけれど、とにかく東京に出てきたからにはオシャレな雑貨屋さんで働きたい。ところが、探偵事務所のバイトを探していたケータイコンシェルジュキャラクターのピヨちゃんに言いくるめられ、ヤエガキ探偵事務所で働くことに…みたいな話。30分~40分の1話完結式の小話で構成されており、性格テキトーなピヨちゃんがトリックスター的な役割を果たしつつお話が進んでいくノベルゲームです。


ただノベルゲームって当然ノベルじゃないのだから絵と音楽があってはじめてノベルゲームになるわけで。「かまいたちの夜」だってあのテーマ曲がなかったら雰囲気出ませんし、シルエットもミステリの題材にあっていました。いわばノベルゲームの輪郭は、物語、絵、音楽の統一感によって形作られるわけで、3つの波長が揃うのは良いことなのです。

3というのはキリスト教の三位一体とかもありますし、素数だから神父も落ち着きますし、全体的に大変ありがたい数字なのだと思われます。OZだって3人ですし。「OZはなぜ3人なのか」という肝心の理由についてはさっぱり覚えていませんが、とにかく3人揃ってサイコーだぜ!みたいな話だったような気がします。

そのへんのバランス感が「未来探偵ソラとピヨちゃん」の良いところで、未来ガジェットが登場しつつものどかさを内包した物語、線が少なくてスタイリッシュな絵とデザイン、激しくないミニマルと、ゲーム全体で「ゆるふわサイバーパンク」が演出されており、雰囲気ゲーとして優れています。劇的なトリックや派手なバトルシーンがあるわけではなく、脱力してダラーっと読んで行ける系のゲームで、肩の力が抜けすぎて脱臼しそうになったり、口をポカッと開けっ放しにしてバカだと思われたり、お腹の肉がたるんできたりします。ぜんぶゲームのせいです。


ところで、サイバーパンクの演出に欠かせないのが架空企業です。サイバーパンクにおいては国家の存在感が薄く、社会に強大な影響力を持つ多国籍企業が描かれることが多く、アーマード・コアなんかでは組織の一つ一つにマークが作られており、作品世界の演出に一役買っています。有澤重工のロゴは三菱重工のロゴよりもブランド力があると思い出したら立派なフロム脳と言えましょう。

「未来探偵ソラとピヨちゃん」でも作中に登場する30もの架空企業のロゴが作成されており、ゆるふわじゃない部分でもサイバーパンクの韻を踏んでいるところがあって好印象です。

しかしここで気がついたのですが、架空企業があるということはそこに勤務する架空労働者がいるということなのですよね。

なんということだ…。サイバーパンクには夢も希望もない。
てっきり5年後には謎の液体で満たされたカプセルに脳だけ接続されて働いた気分になる未来が訪れるのに、あいつらまじめに資格試験の勉強とかしててバカだなーって思っていたのに…。

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