忍者ブログ

当たり判定ゼロ シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

RSS TWITTER RssTwitter

侵略宇宙人は教えてくれる「忙しいゲームは良いゲーム」だと

いい大人なので怒られないことをいいことにゲームばかり遊んでいると、1年に1回くらい感覚的にビビッと来るゲームに出会うこともあるもので、2017年のそれは「X-Morph: Defense」でした。「Crypt of the NecroDancer」とかもそうだけど、ゲームシステムの一発ネタで押し切ってしまう力のあるゲームは震えるよね。

エックスモーフディフェンスは、STGとタワーディフェンスを融合させたゲームで、いかにもSFに出てきそうな統合思念体となって地球を侵略していくゲーム。コアみたいな機械を世界各地にブッ挿して星からエネルギーを吸収していくのですが、それを座して眺めているわけもない地球防衛軍が戦車とか戦闘機とかでコアを破壊するために攻めてくるので、防衛タワーを建設したり自機で倒したりしてコアを守るのが大まかな流れ。

システムはタワーディフェンスでよくあるタイプのウェーブ制で、基本はウェーブとウェーブの間のブリーフィングタイムでタワーを設置していく感じながら、タワーはウェーブ中にも設置可能。するとウェーブ中の行動は、敵を撃ったり敵弾を避けたりしながら戦況の様子を把握してタワーを強化するなり設置するなりすることになるわけ。わりとフィールドは広いので、画面右から左まで駆けずり回ることになったり。

忙しい! 忙しすぎるよ!! 牛丼出しながらオーダー聞いてるすき家のワンオペ店員か!!
ただこのクソ忙しさが心地良い。個人的に「忙しいゲームに外れなし」という雑なポリシーがあるのですが、ここでいう「忙しさ」ってのは画面の忙しさじゃなくて頭の中での忙しさ。例えばCivとか信長の野望とかは画面操作は忙しくなくても、頭の中は仕事でもそれくらい真面目に取り組んでほしいくらい忙しく活動してると思うんだけど、あの手の頭の動作を断続的に要求してくるゲームは遊んでて楽しい。

ゲームを遊ぶってのは創造性に満ちた作業でもなく、むしろ要求された仕事をこなしていく受動性に満ちたものだから、実のところ頭使っているかといえばそうではなくて、客観的に見ると機械に脳髄刺激させられている「ザ・ディストピア作業」以外の何物でもないのだけど、原哲夫風に言うと、だがそれが良い。エックスモーフディフェンスの忙しさにもそういうところがあるわけです。仕事が忙しすぎるときとか、気がついたら夜になっていることがあるけど、仕事だと楽しくもなんともないあの時間がすっ飛んでいく感覚がエックスモーフディフェンスだと快楽の時間で満ちているのだから幸せでないわけがない。


ステージの合間に統合思念体のボスみたいなやつがミッションの内容を解説してくれたり、ウェーブ中も「コアが攻撃されててヤベェ!」みたいなことを言ってくれる説明係やってくれるんだけど、パンツ被ってる見た目のせいでどうにも迫力が出ない。宇宙人のくせに英語はペラペラでも、声がこもっているせいで、ボソボソ喋るオタクっぽい感じすらある。あるいはパンツ食べてるからうまく声がでないのかもしれない。こんな見た目だけど、なんだかんだ言って地球のことが好きのようで生態系に詳しく、ロシアステージだと「この地域は『ロシア人』と呼ばれる大型で攻撃的な人間が居住しており~」とか、アメリカステージだと「この地域には『アメリカ人』と呼ばれる獰猛な種族が生息しており~」とか的確な解説をしてくれるのもお茶目。地球オタクなのか。

ステージクリアするとテクノロジー開発ポイントが与えられて、タワーや自機を強化したりできる。正直、強化してもあんまり強くなった気がしないのだけど、全ステージクリアした後で、序盤のカナダステージとかやり直したりするとかなり強くなってるのがわかるぞ。それに自機やタワーの強さだけじゃなくて、配置や敵撃破の方法とか、自分自身の上達についてもかなり実感しやすいゲームだと思う。

タワーディフェンスと言えば、ディズニーランドの入場待機列みたいなの作って「『殺し間』へようこそ…」ってセンゴクの明智光秀みたいなこと言いながら遊ぶの最高よね。敵がゾロゾロと自殺への入口を自分で歩いて行くのゾクゾクするでしょ。しかし我々も他人事ではない。生けとし生けるものはすべて絞首台へのグリーンマイルを毎日歩き続けているのだ……みたいな光景ですよ。

あと、一般的なタワーディフェンスだと敵を「Z」の字に動くように誘導するのが有効で、当然エックスモーフディフェンスでもそれは常套手段なんだけど、このゲームだと敵を一直線に進むように誘導するのも効果的。というのも自分で操作できる自機のSTG部分があるので、一直線に並んだ敵をチャージショットで蹴散らすことができてクッソ爽快感があるのだ。
あとは、コアは360度から攻撃されるけど、左方向は防御を厚くして右方向は自分で対処とかもできる。STG要素があることでタワーの配置の妙みたいなのが生まれてるのがいい感じ。


普通にタワーを建設して敵の進路を制限するだけじゃなくて、建物を破壊することで敵の進路を絞ることもできるんだけど、これ早くから気がついておけばよかった。このゲームはタワーとタワーの間にフェンスを作ることで敵の進路を制限するけど、最低2つからタワーが必要だから結構エネルギー不足に悩みがち。こういうテクニックに留まらず、エックスモーフディフェンスは破壊のエフェクトの爽快感高いので、破壊マニアにはオススメしたい。

クソゲーあるあるに「敵を攻撃してもリアクションが薄くて、ダメージを受けているのかどうかわからん」みたいな話があるけど、破壊とダメージのエフェクトはゲームにおいて極めて重要度高い。現実でビルを爆破すると怒られるのでゲームでやるしかないから、そこがしっかりしてないと大衆は怒りにかられ、一揆に発展し、政権は倒れる。

ただ、エックスモーフディフェンスに1つだけ欠点があるとすれば、PS4版だけかもしれないけど、ステージクリアしてリザルト画面が出てきたときに「続ける」を押してメニューに戻ろうとするとロード画面のままフリーズするということなんよね。ステージクリアするたびに出てくるのでクッソテンポ悪くなるし、クリアしたことがちゃんとセーブされてるか不安になる。
ひょっとするとPS4が悪いのかと思って再起動してみても100%再現したときは泣きそうになったけど、必死こいて毎ステージ再起動を繰り返して進んでいるうちに、ほぼ確実にフリーズ回避できる方法に気がついたので置いておきますね。

・リザルト画面が表示されたら数十秒放置して、それから「続ける」を押してください。

2017年にもなるのにファミコンの裏技みたいなフリーズ回避法だ…。

シューターが人間をやめるまで

先月、光翼型近接支援残酷戦闘機ことドゥーム様をノーミスノーボムで倒した人がいると聞いてF22に乗って飛んでいってみたら、案の定「またお前か」のタグが貼ってたのですが、ためさんの犯行でした。
ますます人間離れしてしまっているようですが、どこまで行かれるのでしょうか。

しかしそもそも、どんな神プレイヤーだって、いつかは初心者だった時代があったもの。ウメハラだって波動拳を出せないところからスタートしているはずなのですが、なかなかそういう動画を見る機会はありません。

ただ、ためさんは2010年からサイトをほったらかしにされており、昔の東方紅魔郷のリプレイが残されているという事実は特筆に値します。本当にありがたいことですね。今となっては貴重なリプレイ。ためさんの人間離れした動画がアップされればされるほど、その価値が増し続ける過去の遺産と言えるのではないでしょうか。雲上人が、かつては地上に住んでいたことを示す縄文式土器並に貴重な資料です。ゲームの上手な人達は、後世の人のためにもっと下手なときの記録を残しておくべきだと思います。
というかネトゲだってプレイ中にSS撮りまくってると、数年後見返して若いころ旅行行ったときのアルバム見てるような気分になれるし、ゲームを初めてクリアしたときのリプレイを眺めてると当時の緊張感を感じて思い出にふけることができます。ただ記録を残しておくだけで、一歩も外にも出てないのにいい感じに擬似リア充体験ができるので大変オススメです。



さて、リプレイの日付を見ると、録画されたのは2009年。ノーミスでNormalをクリアするリプレイと5ミスでLunaticをクリアするリプレイがあります。Lunaクリアリプレイを再生してみると、安定したプレイではあるものの今のような圧倒的実力を感じさせるものではありません。第7回東方シリーズ人気投票によると、東方紅魔郷のLunaクリア率は5.64%となっており、この時点では全体の上位5%以内というレベル感であることが確認できます。一応私も紅魔郷のLunaはクリアしているので、この時点ではそう遠くない位置にいたのかもしれません。多くの人もそうでしょう。ただ、虫姫さまふたりはUltraクリアまでやり込んでいるようで、特定のゲームをやり込むタイプだったのかもしれません。
過去日記を見ると、2010年3月時点で「360版の初プレイはアゲハで4面中ボスまででした」という微笑ましい報告が。まさか同じ人間が4年後ノーミスノーボムでドゥーム様を叩き落としてしまう鬼畜に成長してしまうなんて…。

神プレイヤーと凡プレイヤー。5年前は同じ地上に生きていたはずなのに、なぜ差がついたか。慢心、環境の違い……。その原因を調査するため、我々取材班は遥か地上の裏側ブラジルまで飛ぶようなことをせずに自宅で過去日記を覗きました。すると2010年4月の日記にこのような謎の記述を見つけたのです。

「4/23 ケツイ買いました。ACでは一周が限界だったけど、トレーニングモードで4,5面のパターン化をしたおかげで2周目にいけました裏入りしたいです」
「4/27 ケツイ1周目のおおまかなパターンが完成しました」

雑に通して遊ばずにトレモでパターン作って攻略するスタイルみたいです。格ゲー滅茶苦茶上手い知り合いもトレモばかりやってるようなので、ゲームのジャンル問わず、トッププレイヤーになるにはとにかくトレモをやるのが近道なのでしょう。
何事も一流になるには1万時間かかるという「1万時間の法則」というのがあったと思いますけど、ダルビッシュの「練習は平気でウソをつく」という言葉のほうが答えに近くて、流して遊ぶのではなく、とにかく敵の配置を観察し、攻略方法を考え、トレモで調査し、実践する。このルーチンを繰り返すことでわずか5年で神プレイヤーになれるという事実とやり方を示してくれていることになります。なるほど!これを真似すれば誰でもドゥームが落とせるやんけ!

ライフハックは永遠の人気テーマですが、あの手の記事に人が集まっているのを見ると、人間ってのは本能的に楽をするのが好きなのだなと思わされますが、ゲームが上手くなるための道のりはただひたすらに地道です。
これは例えるならば、「1から順番に数字を数えてみて。100万までね」みたいな話で、答えがわかることと、それを実践することにはトキとアミバほどの差があって、ゴールまでの距離を知ることがそのまま絶望に繋がるみたいな話でもあります。
また同時に「俺が100万まで数字を数えている間、お前は一体何をしていたのだ?」という問いでもあるわけで、軽く死にたくなります。私も、もう少し真面目にピアノを続けていれば、今頃ニコニコで東方アレンジのピアノ演奏をバンバンアップロードしてニコニコ大会議出てオフパコで逮捕されたりできたのかな……。

しかし、前向きに考えてみると、こうしてゴールまでの距離をいわば「見える化」してもらったのだから、成果に変換すべき時間の量を教えてもらったとも言えます。小説家になるためには、小説家になる方法を調べるのではなく、文字を書くのが正解です。プロ野球選手になるためには、プロを多く輩出する高校を調べるのではなく、素振りを続けるのが正解です。
ゲームを遊ぶ人である以上は、ゲームのうまい人に憧れるもの。結局のところ、ゴタゴタ言ってねぇで手を動かせ、という話なのでしょう。私も今からでも遅くないような気がしますので、東方スコアボード上位目指した頃を思い出してもう一度頑張ってみようという気持ちになれました。ただ、今日はもう眠たいので、明日から本気出していきたいと思います。

アスタブリードとSTGのきれいな敵性機械

ゲーモクの本読んでたら「ククク……やはり破壊感のあるSTGこそが至高なのヨ……」的なスピリットが伝わってきて、全くそのとおりだと思ったのですが、なぜメカメカしい敵たちを圧倒的火力をもって撃滅破壊することが快適なんでしょうかね。考えてみると、清潔感が重要なのだと思います。
例えば暑くなってくるシーズンに増えてくるチャバネ何とかが部屋に現れたとして、近接攻撃で爆散させることに快適はあるでしょうか。見た目だけでも嫌悪感があるのに、プチッと中から変な汁でも出てこようものなら気絶してしまいますし、頭を潰したのに胴体だけが這いずり回っている光景を目にしてしまったら、通常の人であればその映像のフラッシュバックが後の人生に大きな影響を与え、精神は異常をきたし、深刻な猟奇的犯罪に手を染めてしまう可能性があります。その手の嗜好の方向けのフリーや同人STGもあるにはありますが、たいていの人はヌチャヌチャした敵をグチャグチャ潰していくのはあまり好きではないのではないかと思います。

つまるところ破壊が気持ちいいのは、相手が身なりに気を使ってくれているからと言えるのです。パリッパリに糊の効いた白いシャツ、気持ちのよい朝、澄んだ空気、突き抜ける飛行機雲、これを破壊。例えるなら、同じ殴るにしてもその辺のホームレスのおっさんを殴るよりも、「モテるには清潔感が一番!」とか言ってそうな意識高そうなライフハッカーを殴ったほうが気持ちが良いみたいなものでしょうか。あるいは、「父さんな、同人で食っていこうと思うんだ」と言い出した父親の背を押すよりも、1000時間かけて作ったドミノの始めのピースの背を押すときのほうが気持ちが良いようなものでしょうか。
いずれも答えは簡単に得られるものではありませんが、ともかくも、きれいなものを壊すのは気持ちが良いのです。そのきれいな顔をぶっ飛ばす理由は、汚い顔をぶっ飛ばすより気持ちが良いからではないでしょうか。



最近、半年ぶりにアスタブリードをちょくちょくと遊んでいたんですよ。
ステージ中にボイス入りのキャラの掛け合いがあったり、ステージ間でアニメが始まったりするため、演出にスポットが当たりがちなアスタブリードですが、STGとしては破壊感が大変に極まっているゲームであり、思わずメローネがディ・モールトベネとか言っちゃうレベル。
アスタブリードの敵はとても身だしなみに気を使っており外観はツヤツヤしています。ツヤツヤといえばスターオーシャン4の敵キャラがやたらツヤツヤしていたことが印象に残っていますが、同じくらいオイリー感にあふれています。まるでジョブズが愛したiPhoneの鏡面のように研磨されたボディは職人の魂の産物です。まぁ結局みんな死ぬんですけどね。
というか敵がツヤツヤしてると突然SF感出ますよね。そしてたたっ斬ると華麗に爆散。アスタブリードは近接攻撃があり、小綺麗なメカどもを次々と爆散させることができるところが良いところです。



「近接攻撃のあるSTGにクソSTGは無し」といういかにもありそうな格言が実際はあるのかないのかわかりませんが、小奇麗な機械共をブレードでぶった斬れるどころか、アスタブリードでは赤色の敵弾を除いて全ての敵弾を切れるので、STR全振りの脳筋でもブレードをブンブン振っているだけでわりと楽しむことができて安心です。ついでに言うと、ブレードを振りながら遠距離のロック攻撃ができるので、スコアを考えなければ近くは殴り殺しつつ、遠くはロック攻撃で殺すというANUBISみたいな遊び方をしてればクリアまでは安定しようかと思います。16個くらいまで一瞬でロックできるうえ、雑魚の排出量がわりと高いのでANUBISの荒野乱戦ステージみたいなイメージで遊べてしまいます。もう無理にPS2を起動する必要はないのです。ノーモアはいだらー。
というか自機のHPが10000あって、敵弾を食らうとHPが減り、一定時間敵弾を喰らわないと「物陰に隠れてツバつけときゃ治る」FPS理論で元気になってHPが回復しますので、近接攻撃の存在も相まってSTGよりはなんだかアクションゲームみたいな印象もあります。でも自機が弾を撃って、敵も弾を撃ってくるものはすべてSTGというインベーダー以来の伝統に従うと当然アスタブリードはSTGということになります。しかしそれくらいゲーム感は違うというか、一度のミスをしないゲームというより、細やかなミスをたくさんしても大きなミスをしないようにリソース管理するゲームという印象です。



アメリカに不法入国したメキシコ人労働者のごとくガツガツと稼ぐのも良いです。カネを稼げる労働よりもスコアを稼げるSTGの方がなぜ楽しいのかは謎とされていますが、アスタブリードではノーミスで遠距離攻撃を当てるとスコア倍率が高まっていき、近接攻撃で撃破した敵のスコアにその倍率がかかります。最高16倍までかかって、敵を撃破するたびに「×8」「×16」と表示されて、16倍に限っては色まで黄色になるので、エスプレイドで16倍を集めていたバレー部のお兄さんたちには懐かしい感じがするのではないでしょうか。

 

ネタバレになるので詳しくは言いませんが、ラスボスを倒す方法のオチも大変SFっぽくてイカします。まさかアレにアレを与えることでああなってしまうなんて!
ところでSF系STGにはなぜか伝統的に「無駄に悲惨な設定」というものが存在しますが、アスタブリードはストーリーのしっかりしたSTGですので、特に無駄ということもなくしっかり悲惨です。ほとんどのステージのボスが、悲惨な目にあってたり救われない状態なので、「すまぬ……すまぬ……」とか言いながら楽にしてあげる師匠プレイも可。
我々社畜も、特に月曜日の朝なんぞは「ぉぉぉぉ……」とか言ってそうな亡者みたいな顔して満員電車のドアに顔を貼り付けたりしていて、いっそのこと誰か丸太で潰して楽にしてくんねぇかなーと考えたりもするのですが、誰もそんなことをしてくれないのは、あぁそうか、そんなことしてもプレイに爽快感が無いからなのかもしれません。ですので、普段から身なりはどうぞ小奇麗に。

シューターのシューターによるシューターのための弾幕系STG / StellaVanity

極端に難しい一部のボスの画面だけを切り取って「ほら!こんなに難しくするから初心者が離れるんだ!」的な弾幕系の風物詩を見るたびにFXで全財産溶かしたときの顔みたいになりますが、いかがお過ごしでしょうか。 とはいえ、コア層を客層として抱えるアケシューの難易度が高止まりしているのも事実。「無理というのは途中でやめるから無理になるんですよ」とか言ってる渡邉美樹さんには「では将軍様、それではこの陰蜂を一匹落としてきてください」とお願いしたいところです。

それから数年後……感慨深そうにため息をつくと筐体から振り返り、「ね、やっぱり無理なんてなかったでしょ?」と微笑むヨレヨレのスーツを着た男の姿が。その男は、かつて経営者として栄華を極め、多額の資金をバックに国会議員まで上り詰めた。もうこれ以上望むところは何もないように思えた。しかし、不可能が存在しないことを証明する、この男はただそれだけのために議員のバッヂもワタミ会長の地位も何もかもを投げ捨てて人類初の陰蜂撃破を成し遂げたのだ!!とかやると、感動的な美談として世界中に拡散されて日本どころか人類の歴史に名を残すと思うのですが、いかがでしょうか。この手の話が真偽問わず大好きなFacebookでたくさん「いいね!」がつきそうな感じがしていいね!

ともあれ、難しいから人が来ず、人が来ないから難化するという途上国の貧困の悪循環みたいなことが起こって、ユニセフもいないこの世界で第一人者のケイブですらアーケードから撤退し、スマホでリリースしたドンパッチンで奇っ怪な形状のロボをガチャから出す仕事に勤しんでいます。そんな世の中でポイズンせずにSTGを遊ぼうと思うならば、同人で遊んどけというのはわりと有力な選択肢の一つです。


今日は、お気に入りの弾幕STG『StellaVanity』の話をしようと思っていますが、さっそく先生から皆さんに大切なお知らせがあります。何かというと、いきなりですが先月開発Blogの更新が凍結されてたんですよね。ペロリ、これは……死ん…でる……!あれ…この間まで『StellaVanity2』の開発中SSが掲載されていた…よね……(震え声

というわけで、突然開発が凍結されてしまったり、シリーズで買い続けていたらいつの間にかサークルのページが404しか表示しなくなっており、話の続きが気になって夜が眠れなくなるのも同人にはよくあることですので、遊べるうちに遊んでおきましょう。運営が終わったらそれまでのネトゲにも言えることですし、突然入手できなくなる同人ゲでもそうですが、結果として期間限定でしか遊べないゲームってたくさんありますので、とりあえず全力で遊んでおくのが良いと思うのです。
それはそうと価格が1,260円から735円になったのは朗報ではあると思いますし、たったコイン7個入れただけでこの品質のゲームが遊べるのは素晴らしいことではあるんですが、既に買っている私には全く関係がないので悔しくてディスプレイを歯噛みしているところです。


プレイ画面にはたくさんの計器が表示されており、潜水艦の内部的なロマンがあります。
Hellsinker.とかもそうだと思いますが、この手の計器多めのインターフェイスのゲームって、とかく取っ付きづらめのシステムとセットでやってきがちですよね。

『StellaVanity』はゲーム開始時に「C装備(キャバルリィ・タイプ)」「S装備(ステラ・タイプ)」の二種類から装備を選択でき、それによって全く違った操作のゲームに化けます。要はC装備は攻撃手段の少ないシンプルモード、S装備は多様な攻撃手段を持つ複雑モードですね。「慣れないうちはC装備で…慣れたらSで…」なんて悠長なこと言ってると、特筆すべき特徴のないC装備で遊んでいるうちに飽きます。

独断と偏見まっさかりですが『StellaVanity』の本旨はS装備にこそあります。そういう意味では、先日遊んでた同人STG『機械種子』は、難易度がベリーハード一択しか選択できなかったり、ガワが無駄に男臭いなど一見玄人向けに見えますが、システムはシンプルで、実態は誰でも気軽に遊べる万人向けのゲームでした。一方、『StellaVanity』はシンプルなゲームモードが選べたり、様々な難易度が選択できたりしますが、その実、S装備というシューター向けに最適化されたシステムを持つ点こそが白眉であって、下手にお気軽装備を遊んでもそんなに面白くないはず。これはシューターのシューターによるシューターのための弾幕系STGである、ってかつてリンカーンもゲティスバーグで言ってました。


そう、弾幕系なんですよ。弾幕系。当てる気がないんだかあるんだか3WAY4WAYでばら撒かれる弾幕、大型機を倒すと消滅する弾幕、そして縦穴を降下しながら大型機と戦う展開。基本的にはケイブシューのいろはが文脈になっており、弾幕面においては正統派そのものであり、逆に正統派弾幕が珍しくなった昨今遊んでみると弾幕って素晴らしいやと再認識させられるとともに、上から弾が下に落ちてくるだけで幸福回路が発動するおめでたい頭に生まれて良かったなと思わされます。

弾幕系ってザックリ分けると2つになると思っていて、一つが「弾幕を回避する系」もう一つが「弾幕に干渉する系」。弾幕系が登場した初期は回避系が主流、エスプガルーダあたりから干渉系にシフトしてきたような印象を持っています。避けるだけだとシンプル過ぎて、慣れている人は飽きてしまうという流れだったんでしょうけど、一方で干渉系はシステムが複雑になってしまうという欠点があります。
その点、東方なんかは回避系で押し切ったのが、従来STGを触らない人にも遊びやすい下地になったのかもしれません。初心者がクリアできるかどうかはさておき、操作方法やシステムでの取っ付きづらさはない感じで。神霊廟?……ゲフンゲフン。輝針城でも変化球なシステムが出てきたので、東方も干渉系に舵を切りつつあるのかもしれませぬ。回避系って突き詰めるとイライラ棒になってしまうところもあるのですが、回避のアドレナリンは東方の良いところでもあるので、避けるのが面白い弾幕の方向で進んでくれると嬉しいんですけどね。永夜抄魔理沙の魔空「アステロイドベルト」は今でもご飯3杯はいける。

その整理でいくと、『StellaVanity』はわりと干渉系の色合いが強いゲームです。特にS装備では、敵弾を遅くしたり、衝撃波で敵弾を消滅させたり、近接装備で弾幕を無効化したり、とある能力を発動してボスを倒すとそのまま戦闘が継続してオーバーキルできたりとやりたい放題できます。この辺のシステムまわりの複雑性はありますが、使いこなしたときの爽快感は高い系のアレです。
かつて久米田康治が「ネタは分かる範囲が狭ければ狭いほど面白い」と言っていましたが、ゲームシステムも似たようなもんで、ゲームが人を選ぶようなシステムは、リーチさえしてしまえば心に強く残ります。または、人間のほうが最適化されてしまって逃れられなくなるとも言います。下手すりゃ夢にまで出てきたり目を瞑っても指が動くようになるもんね!こわい!

人の嗜好って型みたいなのがありますよね。大衆化するようなコンテンツは小さい丸みたいなもんで、どんな人の嗜好にも嵌りやすいけど、それで満たされることはない。尖ったコンテンツは歪な形をしているので、誰の嗜好にも嵌りやすいわけじゃないけど、その人の嗜好の形にハマったときは心の多くを埋めてくれるという感じの。『StellaVanity』は攻撃方法は多様で、パラメーターも無駄に多くてややこしいけど、それらは使い方を覚えれば楽しさに化けるし、エスプレイドを彷彿とさせる印象に残る短いフレーズのボス戦音楽、ボスのパーツ破壞感の高さ、弾幕消しでのスコア稼ぎ、ボス戦での弾幕避けが素晴らしくて、今ドキの弾幕ゲーが好きな人向けに作られた感がすごいので、大佐の顔を見て育った人なんかにはちょうどハマる形をしているのではないかと思います。

ゲームシステムと説得力 / 機械種子

夏コミで仕入れてきたゲームをボチボチ消化していたのですが、機械種子(あきら小屋)は大変遊びやすくて良かったです。

「すべての同人STGを未来に変える!」「2013年 最も錆臭いSTG」というイカしたキャッチフレーズのとおり、システムは基本ショットとボムしかないシンプルな80年代風STGですが、マイルストーン作品的なポップな敵キャラの描写や敵弾、見やすい画面、そしてボスの演出等、ユーザーフレンドリーな外面はいかにも最近のゲームのように感じます。レトロな魂に現代的外装というか。

スクウェアやエニックスのRPGで育った人間なので、「この先ハードが進化したらRPGはもっと面白くなるだろう」と胸を踊らせていたものですが、実際にハードが進化した未来に現れたのは、3Dグラフィックでテンポの悪いシステムになった別ゲーばかりでガッカリしていたところに、ファルコムが『英雄伝説 空の軌跡』をリリースして「これだよこれ!」となった感じに似ています。『機械種子』は「今の技術で昔のゲームを作ったらこうなるよ」という答えの一つです。

操作が2つしかなくサクサク遊べるので、ノーストレスでリスタートを繰り返せるのも魅力の一つ。ほら、最近のSTGだとよくあるじゃないですか。久々に遊んだら「あれ……この機能なんだっけ」みたいなの。操作が2つしかなければそんなこともなくて安心です。ショット!ボム!おわり!安心!


『機械種子』はとても男らしいゲームなので、ストーリーは機械帝国に地球が侵略されて、たった一機の戦闘機で敵陣突入しなければならない絶望系STGのテンプレみたいな状況から始まります。男らしくて大変良いですね。また、難易度はVeryHardしか選択できません。男らしくて大変良いですね。

主人公は桃山吹雪少尉。設定から言葉を借りるとこんな男です。


その身体能力は常軌を逸しており身の丈十尺の人食いヒグマを徒手空拳にて昏倒せしめるほどである

ヒグマ……一体なぜこんな無意味な設定がSTGに必要なのか……!ヒグマを空手で倒せるから何なのか。なんだこれと思って私もゲラゲラ笑いましたが実はこれは必要な設定だったのです。

自機はライフ制で、1発被弾するたびに戦闘機のバリアが失われる仕組みです(初期でバリア2枚)。バリアはわずかながら自動回復しますので、バリア1枚で粘り続ければそのうちバリア2枚まで回復することができます。ただ、この自機、スペック自体はそんなに良くなくてわりと前に張り付かないと敵のザコラッシュに押し負けてしまいます。じわじわと減っていくバリア…。このまま圧倒的な物量の前に屈してしまうのか…。しかし、自機には最後のバリアが失われ、絶体絶命のピンチになったとき発動する機能「YAMATO SOUL」があるのです。


安全装置解除 機銃エネルギー供給250% 緊急攻撃態勢に移行
常人ならば機体の振動と発熱により操作不能に陥るが
桃山吹雪ならば!このピンチを大和魂で切り抜ける!
安全装置解除により攻撃力2.5倍という狂った破壊力は、ボスに密着射撃でもしようものなら一瞬で墜ちるバランスになります。
ピンチになればなるほど攻撃力が上がるシステム自体は珍しいものではありませんが、その理由付けはセガール的で大変説得力があります。というか無駄に熱くて好きです。だって機体の振動とか発熱とかでウボオアアアアアってなりそうですが、確かに言われてみれば大和魂さえあればなんとかなる気がします。
また、4面以降はプロペラ機で当たり前のように宇宙空間に飛んでいってしまいますけど、身の丈十尺の人食いヒグマを徒手空拳にて昏倒せしめる日本男児だったらそれくらいできる!と言われればそんな気もしてきます。



ゲームシステムはダメだけどストーリーは良いとか、その逆とかよく聞きますけど、『機械種子』のようにゲームシステムの理由付けにストーリーがリンクしていると片方だけが破綻することはないですし、鈎爪で心のどこかにひっかかる説得力を持つゲームになります。

アメリカンなめこことCookieClickerも、ただ数字が増えていくだけのゲームなんで別にババァが焼いている必然性はないのですが、統一意思の反物質ババァがクッキーを焼いているというストーリーがシステムとリンクしていたからこそ面白くて流行ったんじゃないですかね。

ミクロネシア連邦にヤップ島という島があるのですが、その島では石が通貨として使われていて、石の貨幣価値は、大きさや形ではなくその石がどのように運ばれてきたかというストーリーによって決められるそうです。ビジネス書とか読むと「付加価値をつけるために商品にストーリーを付けろ!」とかよく書いてます。ただ野菜を売るだけじゃなくて、どのような技術で作られたものであるかを説明して、納得して高い金を払ってもらう。そんなこと言われなくとも、昔からヤップ島の人たちはストーリーの持つ価値に気がついていたんでしょうね。

思い起こせば、我々自身の人生においてもストーリーは重要な役割を果たします。
たとえば就職活動では、企業は我々の履歴書を見て、そこに書かれたストーリーによって人の価値を判断します。ですから、我々はテニス部で部長を務めて部の皆を一丸にするためにこんな工夫をしましただの、バイト先で売上を伸ばすためにこんな工夫をして成功しましただの、高そうなスペックを想起させるストーリーを考え、自らに付加価値をつけて売り込む必要があるのです。そう、重要なのはストーリー。ヤップ島の石貨のように大きさや重さなどは参考情報に過ぎません。ストーリーの威力でスペックを装飾して、面接という儀式を蹂躙してやればよいのです!

そして一通り熱く話を語った後、面接担当者の口からこんな言葉がこぼれました。
「この空白の1年は何をされていたのですか?」

……ストーリー偏重主義の弊害がこんなところに。

Clear