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「そのスタドリ……倍プッシュだ」と若者は言った

コンプガチャは景表法で禁じられている懸賞に該当するという報道があり、ソーシャルゲー運営会社は慌ただしくコンプガチャの中止を決定しています。
トイレでタバコ吸ってるのがバレた感じですかね。最初はコソコソ吸っててバレなかったのに「タバコ超うめー!」とか言い出すから「マジマジ!?ホントだうめー!」「…あいつらトイレでタバコ吸ってるらしいよー、美味いんだってー」「あれ、そもそもタバコって吸っていいんだっけ」「せんせー!」「なにィ!?貴様らァ!」みたいな。
 
ちなみに景表法は正式名は不当景品類及び不当表示防止法という法律で、いわゆる措置規定が第6条に定められているだけなので、お上の排除措置に従わない場合運営会社に罰金となるだけで、ユーザーへの返金等は発生しません。
あくまで返金に拘るなら民法96条1項の詐欺取消くらいしか思い当たりませんが、ちょっと苦しい気がします。
    
とはいえ「コンプガチャなど我々の中では一番の新参……」「景表法ごときにやられるとは射幸心商法の恥さらしよ……」という状況ではあります。
では、ほかのガチャは大丈夫なのかという話なのですけれども。
 
しばしば、ガチャは300円でそれ以上の(あるいはそれ以下の)価値のものを提供したことになるため、「賭博」にあたると指摘されています。「賭博」とは偶然性の要素が含まれる勝負を行い財物を争うこと、です。
この場合、運営会社は賭場の運営を行なっていることになり、刑法第186条第2項「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する」に該当してしまいます。
 
そうならないために、「ソーシャルの実相 やっとゲットしたレアカードに、所有権が存在しないという真実」で指摘されているように、ソーシャルゲームの運営会社はゲーム内のアイテムと現金との交換、いわゆるRMTを規制しています。現金と交換できなければ、300円以上の価値があるのかないのかわからないので、賭博には当たらないとなるわけです。そのRMT規制の根拠となるのが、社団法人日本オンラインゲーム協会が定めたオンラインゲームガイドライン(PDF)です。
 
オンラインゲームガイドラインによれば、デジタルデータの所有権は運営会社にあり、ユーザーはそれを使用しているだけであるとされています。元来は「ネトゲでRMTやると、ゲームバランスが壊れるからやるんじゃねーぞ」という趣旨で作られたはずですが、この「所有権は運営会社にある」を抜き出すとガチャも合法になるというロジックですね。
従来、RMTの相手はユーザー同士であってRMTが隆盛しても胴元はさっぱり儲かりませんでしたが、ガチャはプレイヤーと胴元でRMTをやってそれを胴元の収益源としたようなものなので、再びユーザー同士でRMTやられても商売として困るというのもあります。
 
ともあれ、ユーザーは金を払ってレアカードを手に入れることができますが、それを現金に替えるためにRMT市場に出品することはできません。自分に所有権のないものは売ることができませんからね。
 
そう。運営会社の主張によれば、すべてのレアカードは、スタドリは、三村かな子は、ユーザーに所有権がありません。
イメージとしては、ドラクエの「ゴールド」を想定してもらえると近いかもしれません。ある日ゲームを起動したら呪わしい音楽が流れてきて「残念ながらセーブデータは消えてしまいました」と表示されても、我々は失われたゴールドの賠償をスクエニに請求することはできません。せいぜい泣きながら壁ドンするくらいが限度でしょう。
 
なるほどなるほど~。ユーザーに所有権はないんですね~!
これならガチャも賭博にあたらないし、RMTでクソユーザー同士が取引しやがって運営から買わないなんてこともない!!オメェ本当に頭いいな!!!!!
 
つまり、ガチャを商売にするにあたっての要諦はデジタルデータの所有権の有無にあるわけです。
今回はこれをオモチャにしてみましょう。
 
 
さて、賭博といえば、みなさんはギャンブルってお好きですかね。刑法185条には
 
 「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
 
と定められており、賭博という行為自体がこの国では原則禁止されています。
 
しかし、競馬とパチンコはオッケーで、麻雀は一般的に点リャンピン(1000点200円)以上が逮捕というのが、この国の目安として実質的に存在します。タレントの蛭子能収さんが捕まったのが点リャンピンとして知られていますね。ちなみに西武の東尾投手が捕まった時のレートは明らかにされていませんが、蛭子さんは「俺で警察の厄介になるレベルなら、東尾なら懲役だろ」と語ったとされています。
 
そもそも賭博の言葉的な定義を見てみると「金品をかけて勝負を争うこと。かけごと。ばくち」とされています。
これと「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する」を照らし合わせると、競馬法のある競馬はまだわかりますが、パチンコがなぜオッケーなのかさっぱりわからないところですが、あまり言うと怖い人に怒られてしまいますので気にしないようにしましょう。おぉ怖い怖い。
 
ともあれ、博打とは金品を賭けて争うことなわけです。逆に言えば、金銭性がなければ博打にならず、賭博罪に当たらないのでは……。
 
金銭性がない…。
ここで思い出すべきは、「ソーシャルゲーのデジタルデータにはユーザーの所有権がない」という点です。確かユーザーにはデジタルデータの所有権がないためRMT市場に出すことができず、現金に換金することができないということだったはずです。
つまり、ユーザーにスタドリに所有権を与えないということは、スタドリと金銭との兌換性を失わせることになり、それを賭けても金品のやりとりとはならず、賭博に当たらないのではないかということが考えられます。おまけにスタドリであれば消耗品。イベントで小一時間もあれば消費できてしまうものなので、一時の娯楽に供するものと見ても良いでしょう。
まさに、スタドリは刑法185条の言う「賭博をした者は」と「一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまるときは」の2つの壁をクリアできる天からの配剤のような賭博商品なのです。
 
しかし法律は言葉の定義だけで善悪を決めるわけではなく、そこには被疑者の主体的行為も重要視されます。
実質的にRMTを介して現金化できると知ってギャンブルを行った場合、実態で判断されかねないのであくまでRMTなんて知らないということにしておきましょう。だって運営会社から所有権を与えてもらっていないですし、規約で禁止されてますし、ね?
 
余談ですが、刑法には様々な罪が規定され罰則が設けられており、それぞれ保護法益というものがあります。たとえば「殺人罪」であれば、個人の生命を守るという「個人的法益」がありますし、収賄罪は国家の規律を維持するという「国家的法益」があります。
判例は賭博罪の処罰根拠についてこう述べています。
 
「勤労その他正当な原因に因るのではなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」(最大判昭24.11.22)
 
この場合、国民の健全な勤労観念を守るという「社会的法益」がその保護法益です。
 
一般的に金銭を賭けて賭博で利益を得てしまった場合「こんな楽して儲かるなら、働くのがバカバカしい」となりますが、そもそもスタドリの場合、ゲーム内通貨ですし労働もクソも最初から遊んでいます。
「こんなに楽して儲かるのなら、課金するのがバカバカしい」とはなるかもしれませんが。
ゲーム内通貨のやりとりに賭博罪を適用するならば、保護法益は国民の健全な課金行為を守るということになってしまい、何だか管理社会的なディストピアな響きが出てきてしまって滅法素敵です。これはこれで良いような気もしてきました。
 
閑話休題。
さて、所有権のないスタドリの換金性が否定され賭博に当たらないとすると、我々はそれを何に活用すれば良いのでしょうか。
 
そりゃギャンブルですよ。鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様なギャンブルですよ。
特に白黒はっきり付ける必要のあるヤクザ同士の抗争なんかではギャンブルがピッタリなのですが、最近は官憲がまじめに仕事をしており賭博の規制も厳しく、ヤクザはケジメを付ける手段に難儀しているものと思われます。そこでヤクザの皆様には今すぐモゲマスを始めていただき、スタドリという仮想通貨を金銭のやりとりの代わりとしてしていただければと思います。
その場合の質疑想定としては、以下のとおりとなりますので参考にしてください。
 
「俺達の負けだ……受け取ってくれ、スタドリ2万本だ」
スタドリ2万本は、現在の価値でいう200万円である。
「ククク……断る。倍プッシュだ」
「お、おいっ」
「引き際など、ない。この勝負、どちらかが破滅するまで……そうですよね……?」
ざわざわ……ざわざわ……
「……サ、サツが来たぞっ!!ガサが入りやがった!!」
「!?」
「貴様ら動くなっ!!ここで多額の金銭を賭けた博打をやっていると通報があった!」
「金銭?そんなもの賭けちゃいませんよ、ねぇ組長?」
「刑事さん、我々は確かに麻雀をしていた。勝負を盛り上げるために結果的に賭けを持ち込んだこともあるかもしれん。だが、我々が賭けていたのは『スタドリ』というゲームの中のアイテムなんじゃ。もちろん我々に所有権はない。しかもこのアイテムは消耗品でな、その気になれば小一時間もあれば使いくることができる」
「……」
「刑事さんは、お仕事柄当然刑法にもお詳しい……。ならば私の言っていることがわかるでしょうな」
「ぐぬぬ」
 
わお!これだとチャカも要らないし、多額の日本円やり取りしてマッポに睨まれる必要もなくケジメをつけられるので便利ですね!スタドリに所有権がなくて良かった!
 
「主として賭博を行う意志がある」と見られないために、念の為に「我々は麻雀を打とうとしていた。勝負を盛り上げるために一時的な消費物を賭けたのみである」と抗弁しておけば、なおよろしいかと思われます。
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